高野山 最大乗院は鹿児島市長田町にある鹿児島の歴史と共に歩んできた真言宗のお寺です。

最大乗院

最大乗院について

当時の紹介

当寺は、かつて鹿児島市稲荷町に存在していた真言宗のお寺です。
ここには、守護大名島津氏が本拠としていた清水城があったのですが、
手狭になり内城に移った後に建てられた寺が大乗院です。
島津氏縁の場所に建つ寺院として歴代藩主の尊崇が厚い寺院でした。
しかし、明治2年の廃仏毀釈の時それが災いして、
最初に破壊された寺となりました。当寺には破壊された石仏が多数あります。
その後、明治18年に草家大仙が長田町に最大乗院として再興され、
大正13年に新築されました。
また、鹿児島市立美術館構内にある「じめさあ」と呼ばれる石像は、
もともと大乗院に境内にあった「白地蔵」であったといい、
「白地蔵」には祈願を行う人々が白粉を塗る習慣があったといいます。
このように当寺は鹿児島の歴史と共に歩んできたお寺です。
御本尊は「不動明王」、お不動さんともいい迷いの世界から
煩悩を断ち切るよう導いてくれる慈悲深い仏さまです。

福盛顕正
写真

真言宗について

平安時代初期、弘法大師空海によって伝えられた真言密教の教えは、我々人間が修行によって生きているあいだに、その身はそのままで仏になれる、つまり「即身成仏」ということです。

密教とは「秘密の仏教」ということです。
密教の秘密の教えには二つの意味があり、ひとつには人間は仏陀(悟った人)に
なれるのにそれに気づかずにいるという「衆生秘密」、もうひとつはお釈迦様の
教えは法を説く相手の宗教的素養に応じて説いているためにわかりやすいですが、
大日如来の教えは仏さまの世界の言葉であるため、
ふつうの人間でははかり知ることができないという「如来秘密」です。

真言宗で根本本尊としておまつりしているのは「大日如来」です。
大日如来は宇宙の真理を意味する法身仏で、諸尊の一切は大日如来が
教化(きょうけ)の為に姿を変えたものと考えられています。
真言宗のお寺では大日如来以外に、その教えを説いた祖師弘法大師を本尊としたり、
阿弥陀・薬師などの如来や観音・文殊などの菩薩のほか、いろいろな仏さまを
本尊にしています。
これも大日如来がその時と場所に応じて姿を変えて現れる考えられています。

真実の言葉。仏さま自身の言葉という事です。
もともとは梵語(古代インドのサンスクリット)のマントラのことで、
陀羅尼も真言と同じ意味で一般に真言は短いもの、陀羅尼は長いものを指します。
真言は弘法大師が「一字に千里を含む」と言っているように、
たったひと文字でも大日如来の教える無限の真理を含んでいます。

いまいきている間に修行すれば、そのままで仏になることができるということです。
いいかえれば、仏さまと自分とが一体になった状態です。真言密教は、
一心に修行をして祈り、仏さまと一体になることによって仏さまの籠を受ける
教えともいえます。